第144章 橘結衣は彼のものにしかなれない

夜風がさらりと頬を撫で、落ち葉が地面いっぱいに散っていた。

通りすがりの人影がある。

黒いスモークガラスが外界を遮断し、車内の様子は誰にも見えない。

橘結衣は顎をわずかに反らされる形で、宮本景太の奪うような口づけを受け止めさせられていた。呼吸の隙間さえ飲み込まれ、息ができない。

罰を与えるみたいなキスだった。

強引で、傲慢で。

――誰かに告白された、それだけで?

でも、それは結衣が決められることじゃない。

「離して――!」

橘結衣は宮本景太の唇を思いきり噛み、胸を押して突き放した。

宮本景太の唇に赤が滲む。眉間がきゅっと寄った。

腕の中で怯えた目をする、噛みつくウサギを...

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